中国の緑化とは?
森林面積が増えているという中国。まぁ、植林はしています。造林面積は増えているのは事実でしょう。でも、100年、200年の森作りをしているかと言えばNoです。見かけだけの、緑化の意味を考えていない森作りが行われています。人の虚栄心を満たすための緑化です。

雲南省や河南省を初め、岩場や墓場の石に緑のペンキで緑化した話がありました。しかし、中国の植林現場を見ていると、現場レベルの苦悩の末の決断だったと言うことが言えます。県レベルの責任者の気持ちが分かります。理由は、緑化という言葉です。

普通、緑化と言えば木を植えることを連想します。植える木は、いつも常緑と言うことは普通は考えません。とりあえず木を植えるのを緑化と理解します。しかし、中国の現場では、緑化=常緑と理解しています。常に、冬でも緑でないといけないと。半乾燥地の水条件の厳しいところで常緑針葉樹を植えています。そして常緑針葉樹を維持ずる為に潅漑設備を設置して水やりを行います。


これは、道路から見える場所の造林地(甘粛省蘭州)


縦に水やり様のパイプが走っています。



水の無駄遣いを止めたそうです。チューブによる潅漑

費用のかけ過ぎと言えるので、緑化=森作りではなく、公園作りと言えるかも知れません。

このようなことが当たり前に半乾燥地で行われています。パイプを引いて、川の水をポンプアップしたり、地下水をくみ上げています。今の経済状況であれば金さえかければOKということでしょう。でも、私から見れば生命維持装置を付けたままの植林です。


もう、たくさんの種子を付けています。ストレス=如何に水が少ないかです。植え穴が小さく根が十分張っていないというのもありますが。

このような状態の森よりは、潅木を植え、余り水を使わない樹種を植えた方が適地適木です。げも、現場の人間は冬緑じゃないと緑化でないと言いました。常緑であることが大事なのです。



これには、伏線がありました。これは、1940年代の植林の様子です。凍った黄河から氷を切りだし、植栽時の水を確保していたのです。ここまでして、失った?森を回復しようとしていたんです。

多分ですが、生きた苗木よりプラスチック製の木が安くなると、それを遠くから見ただけでは判らないような所に植えるような気がします。大地が緑色であることが何より重要であるのですから。

植林被覆率の数値だけが一人歩きし、その数値に合わせるために行っている緑化運動。誰も疑問に思わない方法は、果たしてこの国の将来は大丈夫なんでしょうか?未来は暗いと思っています。

さて、私たちは何のために森を作っているのでしょうか。もう一度見直す事が大切な気がします。311の津波で多くの海岸林が姿を消しました。紀貫之の頃でも高知の海岸林は津波対策、高潮対策で松林を作っていたそうです。色々なところで色々な目的を持って木を植えています。先人の知恵を参考にしつつ、見つめ直すことも大切なんだろうと思います。生きていくための植林。生き続けるための森作り。忘れてはならないと思います。



森と神様