C&Iをめぐる情勢
 
C&Iをめぐる国連の動き
IPFまでの動き
 1992年6月の地球サミットで採択された『森林原則声明』とアジェンダ21の第11章『森林減少対策』は持続可能な森林経営(Sustainable Forest Management)の推進の原点となる合意であった。
 アジェンダ21の実施状況をモニターし、必要な活動をするため、1993年には国連経済社会委員会の下に、『持続可能な開発委員会(CSD)』が設置された。1995年4月の第3回CSD会合においては、森林分野などでの地球サミット以降の取り組み状況を検討し、今後の方策を定めるための『森林に関する政府間パネル(IPF)』が設置された。
 IPFは1995年9月の第1回会合、1996年3月の第2回会合、1996年9月の第3回会合と協議を重ねていった。
 そして、1997年2月の第4回会合において、各国の森林プログラムの策定、世界的な森林資源調査の実施など130項目以上の行動提案を取りまとめてIPFは終了した。
 IPFの報告書は1997年4月のCSD第5回会合で検討され、さらに1997年6月の第19回国連特別総会(UNGASS)の検討へと提出されていった。
 
IPF
 IPFの行動提案の中のC&Iに関する部分は次のような内容となっている。
@検討項目(T-1) 国家森林計画及び土地利用計画の推進:9行動提案
 この第4番目としてC&Iに関して次の提案が入っている。
『IPFは各国に対し、国家森林経営の策定から評価までの全課程に、持続可能な森林経営のC&Iを組み込むことを奨励する。』
A検討項目(T-2)森林の減少・劣化の根本原因の究明:7行動提案
B検討項目(T-3)森林に関する伝統的知識(TFRK):18行動計画
 第12項目の行動提案として次のように述べている。
『IPFは、各国、国際機関及び研究機関に対し、TFRKの尊重や保護、利益の公正な分配などのため、森林経営の訓練にTFRKを組み込むことを求める。また、森林経営の認証の際、途上国での持続可能な森林経営のC&Iの認識の重要性を強調すべきである。』C検討項目(T-4)砂漠化・乾燥の影響を受けている脆弱な生態系と大気汚染の影響
                                :12行動提案
        {砂漠化・乾燥の影響:7行動提案
        {大気汚染の影響:5行動計画
大気汚染の影響に関する第4番目の提案は次の通り
『IPFは、国家レベルでの大気汚染のC&Iの評価及びモニタリング手法の開発を奨励する。』
D検討項目(T-5)低森林被覆国等における森林保全対策:5行動提案
 第2番目提案のパラグラフ7は次の通り
『IPFは、低森林被覆国に対して、以下の行動をとることを求める。
 国家レベルのC&Iなど、信頼できる評価に基づき、適切な研究、情報システムの開発を行うこと、また、政策や国家森林計画に関する意志決定に適時対応できる情報交換メカニズムを確立すること』
E検討項目(U)資金援助・技術移転に関する国際協力:31行動提案
        {資金援助の強化:8行動提案
        {民間部門の投資強化のための行動過程:5行動過程
        {中央政府の性格及び調整能力:5行動提案
        {国際協力の強化:3行動提案
        {技術移転とキャパシティビルディングの強化:7行動提案
        {情報システムの改善:3行動提案
F検討項目(V-1a)森林資源評価:12行動計画
        {森林資源評価:8行動提案
 第1番目提案
『IPFは各国に対し、森林の評価の際、質的な指標など国レベルのC&Iを統一することを奨励する。』
 第4番目提案
『IPFは、FAOに対し、各国政府及び関連国際機関と協議の上、FRA2000の実施に向けた綿密な計画の立案・配布を求める。この計画には幅広い森林の価値が盛り込まれ、 KatkaV会合での勧告と合致し、かつ国際的、地域別のC&Iに求められる条件を満たした新しいパラメータやコストや資金についても含まれなければならない。』
        {森林研究:4行動提案
G検討項目(V-6b)森林の多様な効用の計測手法:3行動提案
『IPFは、各国に対し、国際機関と共同で、森林から得られる全ての価値のよりよい評価をもたらす適切な手法を使用することを奨励する。』
『IPFは、国際機関及び関連団体に対し、森林から得られる価値、特に市場で取引されていない価値の評価に必要な適切な手法及びデータセットの包括的なドキュメントの作成を求める』
『各国、関連国際機関及び研究機関に対して、特に森林の減少・劣化、浸食、C&Iに関して、森林の評価手法の更なる研究を進めることを求める。』
H検討項目(V-2)持続可能な森林経営のC&I
○IPFは、各国に対し、直接参加方式を通じ、国レベルの持続可能な森林経営のC&Iの準備を進めること、また、既存の国際的、地域的イニシアチブに基づき、フィールドテストを含む科学的・技術的な試験の実施を奨励する。
○IPFは、各国に対し、以下のことを求める。
・森林の持続可能な経営を促進するための枠組みとして、国際的、地域的な、国家レベルで合意されたC&Iの利用を促進すること。
・分野横断的かつ全ての関係者の参加の下で、C&Iの作成及び適用を行うこと
・国家森林計画の枠組みにC&Iを含めること
・国レベル、地域レベル又はマネージメントレベル・ユニット/オペレーショナルレベルで適用されるC&I間の関連づけ及びそれらの関連性の明確化を行うこと
・全てのレベルにおいて、C&Iの互換かを促進すること
○IPFは、未だ既存のC&Iのイニシアティブに参加していない各国に対し、可及的速やかに参加することを奨励するとともに、ドナー各国、二国間、多国間機関に対し、そのための技術的・資金的援助を求める。
○IPFは、各国、国際機関、特にFAO、UNEPと国際的、地域的イニシアティブの参加者に対して、持続可能な森林経営のC&Iの基本用語の定義を定めること、環境的に同条件にある地域でのC&Iの適用を進めることを求める。
○IPFは、FAO及び国際的・地域的イニシアティブの参加者に対し、今後開発されるC&Iと森林原則声明の共通性を導き出し、森林資源評価や持続可能な森林経営のためにそれらを使用することを奨励する。
○IPFは、CSDに対し、CSDで行われた生物多様性の指標は、既存のC&Iの取り組みと一貫性があり、補足的なものであることを確認することが求められている。
I検討項目(W)林産物・サービスに関連する貿易と環境:22行動提案
        {マーケットアクセス:5行動提案
        {林産物の相対的競争力:2行動提案
        {未利用樹種:3行動提案
        {認証・ラベリング:7行動提案
○IPFは、各国及び国際機関に対し、持続的な森林経営と自主的な認証・ラベリング制度の間の潜在的な相互保管関係を検討すること、及びこれらの制度を保護主義の偽装としないよう努め、国際的責務と矛盾しないようにすることを求める。
○IPFは、先進国や国際機関に対し、技術・資金援助を通じて、自主的な認証・ラベリングに関する開発途上国の評価能力の強化を支援するよう求める。
○IPFは、各国に対し、次のような概念を認証制度に適用することを支援することを求める。
    (i)全ての森林所有者、経営者などに開かれたアクセス及び非差別的な取り扱い
    (ii)信頼性
    (iii)偽りのないこと
    (iv)費用対効果のあること
    (v)全ての関係者の参加のための形態
    (vi)持続可能な森林経営
    (vii)透明性
○IPFは、関連する機関に対し、以下を含む自主的な認証・ラベリング制度の様々な側面についての更なる研究を求める。
    (i)持続可能な森林経営を促進する効果
    (ii)様々なC&Iの枠組みと認証の関係
(iii)自主的な認証・ラベリング制度の開発、実施など及び相互認証に関連する問題と政府の役割
    (iv)小規模森林所有者など森林に依存するものに対する特別なニーズ
    (v)認定の過程を含むモニタリングの必要性
    (vi)首尾一貫した用語の開発
    (vii)代替物に同等の制度がないことによる林産物などの相対的競争力への影響
    (viii)森林被覆が低い国での必要事項
○IPFは、各国に対し、持続可能な森林経営のための基準・指標に関するCIFORプロジェクトと認証制度との関係について検討することを求める。
○IPFは、各国と林産物貿易を取り扱う関連機関に対し、様々な認証・ラベリング制度における同等性の確保や重複の回避を促進することを求める。
○IPFは、各国と関連する機関に対し、透明性を確保するため、認証・ラベリング制度に関する情報や経験の交換の整理、支援を求める。
        {費用の内部化:3行動提案
        {市場の透明性:2行動提案
J検討項目(X)国際機関、多国間研究機関及び適当な法的メカニズムを含む手法:10行動提案
 
 1997年6月にニューヨークで開催された第19回国連特別総会(UNGASS)における森林に関する検討では以下のような合意が成立した。
 
 全てのタイプの森林の経営、保全及び持続可能な開発は、経済と社会の発展、環境保護、並びに地球の生命維持システムに必要不可欠な要素である。森林は、生物学的多様性の主要な貯蔵庫の一つであり、炭素の吸収源と貯蔵庫であり、特に後発開発途上国では、重要な再生可能なエネルギー源である。森林は、持続可能な開発に必須の要素であり、伝統的な生活スタイルを保有する先住民やその他の森林に依存する人々、森林所有者及び地域住民にとって不可欠なものであるが、これらの人々の多くは重要な森林に関する伝統的知識を保有している。
 リオでの森林原則声明の採択以降、確かな前進が、国家的、サブ国家的、地域的及び国際的なレベルで、持続可能な森林経営と森林に関する国際協力の推進面で図られてきた。CSDがその第5回会合で承認したIPFの報告書(E/CN.17/1997/12)に盛り込まれた行動提案は、幅広い森林問題に関連する著しい前進とコンセンサスを示すものである。
 IPFプロセスが生み出した気運を維持し、今後とも、開放的、透明かつ参加的なプロセスである全てのタイプの森林に関する総合的、調和的でバランスのとれた政府間政策対話を促進し助長していくためには、持続可能な森林経営に対する長期にわたる政治的なコミットメントが世界的に求められている。このような見地から、以下が緊急に必要である。
a.各国、国際機関及び国際機構は、迅速かつ効果的な方法により、特に先住民や地域社会などの主要グループを含む全ての利害関係者との協力と効果的なパートナーシップを通じ、パネルによって合意された行動提案を実施すること
b.各国は、それぞれの国の状況、目標及び優先度に応じ、国家的な森林プログラムを策定すること
c.全てのタイプの森林の経営、保全及び持続可能な開発に向けて、IPFの行動提案を実施するための資金供与、キャパシティビルディング、試験研究及び技術移転を含む国際協力の充実強化
d.IPFプロセスの検討国から生じる全ての事項の一層の明確化
e.国際機構及び国際機関は、それぞれの所掌と比較優位性に応じ、パネルの行動提案の実施に的を絞り、それぞれの取り組みを継続するとともに、非公式でハイレベルのインターエージェンシー・タスクフォースでの一層の協調と協力手法の検討を進めること
f.各国は関係する国際機構や条約の管理機構に対し、それらがIPFの行動提案を作業プログラムに盛り込むに当たり、既存の協定や取り決めの下で、効率的で効果的な方策を講じるとともに、森林に関連する取り組みを全てのレベルで連携させるよう、整合性のとれた指導を行うこと。
 
 これを成し遂げるのを助けるため、UNCSDの下での暫定的で開放的な森林に関する政府間フォーラムの設置を通じ、森林に関する政府間政策対話を継続し、焦点を絞り期間を限った任務の下で、開放的、透明かつ参加的な形で次のような作業を行うことを決定する:
a.パネルの行動提案の実施を促進し助長すること
b.世界の全てのタイプの森林経営、保全及び持続可能な開発の進捗状況に関するレビュー、モニター及び報告を行うこと
c.IPFの検討項目の中で懸案となっている事項、特に、森林の産物とサービスに関わる貿易と環境、技術の移転及び資金の必要性につき検討を行うこと
 
 また、フォーラムは、全てのタイプの森林に関する法的拘束力を有する取り決め等の国際的な取り決めやメカニズムにつき、それに含まれるべき事項の特定を行うとともに、それに向けてのコンセンサスの醸成を行うべきである。フォーラムは、その結果を1999年のCSDに報告する。
 フォーラムは、その報告に基づき、そしてCSD第8回会合の決定を踏まえ、新たな取り決めやメカニズム、又は全てのタイプの森林に関する法的拘束力を有する取り決めに関する政府間交渉プロセスにつき更なる取り組みを行う。
(追加)フォーラムは、その作業計画をさらに検討し、組織的事項を決定するため、可能な限り速やかに会合を開催すべきである。フォーラムは、各国政府や国際機関からの自発的で追加的な拠出により支援され、国連政策調整・持続可能な開発局の中に設けられる小規模な事務局により運営されるべきである。
 
 UNGASSで合意されたCSDの下の『森林に関する政府間フォーラム(IFF)』の第1回会合は、1997年10月にニューヨークの国連本部で開催された。
 この会合において、3つの検討項目として@IPFの行動提案の実施促進、AIPFからの懸案事項などの検討、B森林条約などの国際協定や国際メカニズムの検討を設けた。 また、2000年までに成果を取りまとめるため、1998年から年1回程度のペースで合計4回の会合を開くことを決定した。
 
 
 
 
森林に関する政府間フォーラム(IFF)の検討スケジュール 

カテゴリー プログラムエレメント 第2回会合
(1998年6月又は8月)
第3回会合
(1999年2〜3月)
第4回会合
(2000年2〜3月)
T  IPFの行動提案の実施促進方策などの検討 (a) IPFの行動提案の実施促進方策 本格検討
(行動提案とりまとめ)
フォローアップ 最終報告書とりまとめ
    (b) 持続可能な森林経営の進捗状況のモニター 事前検討 本格検討
(行動提案とりまとめ)
同上
U IPFからの懸案事項等の検討 (a) 新たな国際基金の創設 事前検討 本格検討
(行動提案とりまとめ)
同上
    (b) 貿易と持続可能な森林経営の調和方法 本格検討
(行動提案とりまとめ)
フォローアップ 同上
    (c) 環境保全上好ましい技術の移転方策 本格検討
(行動提案とりまとめ)
フォローアップ 同上
    (d) IPFの検討項目の更なる検討 事前検討 本格検討
(行動提案とりまとめ)
同上
    (e) 国際機関、森林関連条約の役割・活動などの分析 本格検討
(行動提案とりまとめ)
フォローアップ 同上
V 国際協定や国際メカニズムの検討   国際協定や国際メカニズムの内容の検討とコンセンサスの醸成 事前検討 本格検討
(行動提案とりまとめ)
同上





持続可能な森林経営のためのC&Iについては、検討項目の@の中に入っており、IPFの検討項目(V−2)の行動提案のように、各国及び国際機関に対するC&Iの策定、適用への奨励、または支援を強化するように求めていくことになろう。