自然資源と村八分

葬式と火事以外は助けないというルールで、成人の祝い、結婚式、出産の協力、病気の世話、新改築の手伝い、災害時の世話、年忌法要、旅行には付き合わないという共同絶交です。村八分とか、村八部といいますが、本当は、村から弾くから来ているという話です。弾かれる理由は、秩序を破ったから。特に、入会に関するルール破りです。
自然資源において、潤沢な資源下で、日本人は生活していませんでした。どちらかと言えば、縄張り争いの中で、多くの血が流れ、その反省の上から、地域毎、入会毎のルールが作られました。
決まった鎌で刈り取る、決まった籠に入るだけ、午前中まで収穫可等々です。そのようなルールを決めることで、持続可能な森林利用が可能となったのです。そのルールを破る=持続性の消失です。消失=資源の枯渇、土砂災害など災害発生を高めることに繋がります。だから、一度作ったルールを破ることに、ペナルティーを課すんです。

では、日本人は、ルールがない場合でも、守るのかとなると、自分勝手で秩序を重んじない人種だと思います。理由は、株主総会に一度でも足を運ぶと分かります。いい年した爺婆の浅ましい姿を見ることが出来ます。株主総会の土産について文句を言う、懇親会の料理の少なさに文句を言う、奪うように食べ物を盗る姿を見ることが出来ます。その場には、ルールが存在しません。金出しているから偉いんだと勘違いしているんです。投資額であっても、数万円程度かもしれません。しかし、出資者なので、デカい顔をし、俺様ルールで、周りに配慮することすらありません。まぁ、普通の人には接する機会のない話ですが、浅ましい人達がいるのも事実です。

だから、ルールを作り、それを守るのだと思います。株主総会のドタバタは、特段身の危険を感じることではないので、欲望のまま、突き進んでも1時間もすれば、何もなかった、食べ散らかされた残骸があるのみです。

しかし、里山など入会地は、乱獲すると、翌年以降の生活が成り立たない、下手をすると土砂災害に遭うので、欲望を抑えるしかないのです。長い歴史の中で、里山の利用の中で、ルールを守る日本人というのが生まれたのだと思います。

さて、日本では、日本のルールを破る人達が増えてきています。寄生虫のような生活をする人達も増えてきています。経済難民として不法侵入し、未だ日本人にならずに居座っている人達もいます。秩序を守ろうとしない勢力が増えてくると、どうなるんでしょうかね。

まぁ、江戸時代の自然資源に関するルールも、明治維新の時に一度ぶっ壊れ、明治30年(1897年)に森林法が出来ます。国有地でも、私有地でも、森林を扱う際には、許可が必要です。伐るのも、植えるのもです。勝手に使うことを許してもらえない内容です。その理由は、森林を禿げ山に荒廃させたからなのです。同時期に、河川法、砂防法も出来ました。前年に、全国規模で大水害が発生したからです。それだけ、自然の荒廃が激しく、ルールを決めて、取り締まる必要があったからです。

その後、一生懸命、造林しました。結構頑張って、今の緑あふれる国土にしたのです。国民みんなが、法律を守ったからです。ある意味、法治国家なんですね。

他人に迷惑をかけない=個人レベルでも、大災害を招く可能性があるということの学習の結果なんだと思います。自然資源を持続する知恵だったのです。ルールを守っている理由をもう一度思い出してみても良いのかと思います。



森と神様