フィンランド:林業に関する情報
 
 森林経営計画設定
   林業センタ−  1995
 
私有林の非産業林の計画設定について
 
 最近10年間に、林業局と森林経営協会による年間の計画設定面積は、百万haを若干超えており、そのうち70% は個々の私有地であった。現在編成されている経営計画は約155,000 件で、私有地の約8 百万ha(私有林の約55%)に及んでいる。次に、現在編成されている地方計画は、私有の非産業林面積の76% に及んでいる。
 新しい多目的計画設定方式の開発が、1994年にセンタ−によって始められた。多目的森林計画は、それぞれ異なる環境及び多用途価値を木材生産に結びつけることを狙ったものである。この計画は、1994年に作成された林業に対する環境計画を明確にするために設けられた前提の一つである。
 新しい計画設定システムの開発は、地理的情報システム(天然資源情報システムと呼ばれるが、これは林野庁の管轄下にある森林・自然経営計画、育林及びその他の活動を援助するもの)を計画し実施するために設けられた大型プロジェクトの最初の部分である。
 新しい計画設定システム ( Solumと呼ばれる)は1996年夏にスタ−トし、段階的に利用されることになる。天然資源情報システムの次の部分は1996年に完成することとしているが、次の10年末までには十分に利用されるものと考えられている。
 
 
 将 来 の た め の 経 営 計 画
  フィンランド林業協会 1994年
 
将来のための経営計画
 
−森林とその保育の必要性について、明確な知識に基づく森林経営
−すべての国有林と産業林及び非産業林の60% に適用される森林経営計画
−計画には、次の情報が含まれる。
 −立地
 −蓄積
 −伐採及び保育
 −その他特異性
−持続可能な林業を基礎づける森林並びに計画設定作業の現状についての情報
 
メッセ−ジ:
 森林資源調査が全国的に行われ、その上で個々の経営並びに利用について計画される。森林は森林経営計画に従って経営されるが、計画は現地で測定されたデータ、林分の成長量と進度に関する計算に基づいて作成される。この計画によって、持続可能な林業が長期的に実施され、また木材の販売によって着実に所得が上げられるようになる。
 
1. 森林経営計画には、森林地の木材資源(現在の蓄積、予測される伐採許容量)の推定値及び必要な育林並びに森林改良作業の指示等が含まれている。経営計画は森林所有者のニ−ズに基づいたプランであり、次の10年間に実施される育林について詳述している。この計画は、どのような種類の森林を所有しているかによって、有利な持続可能な方法で(例えば、伐採収入が一経営期間から次の経営期間まで着実に得られるような)、どのように保育するかを指示している。個々の森林所有者のニ−ズと目的は変わることが多いので、森林経営計画は、その目的が木材生産や森林生態系の動植物相の保全にとって有効であるかどうかとは関係なく、出発点を規定しているものである。このことは、森林の取扱いについて運まかせにするというのではなく、計画が森林所有者のニ−ズ、現地で収集されたデータ及びこれらを基本とした計画に基づいて作成されているので誤りはない。その森林にとって特別な経営計画に含まれている情報は、決して外部に漏らしてはいけない。
 
2. 1993年における私有林の個々の経営計画は150,000 件に達し、その面積は約7.5 百万haである(ドイツの森林面積に相当)。この面積の60% は、私有の非産業林である。毎年、約1.3 百万haについて経営計画が設定されている(この面積は、スイスの森林面積より大きい)。計画設定費は、西部フィンランドで FIM 30-50/ha 、北部フィンランドで FIM 15-30/ha である。
 
3. 地区林業事務所又は地方林業協会における経営計画設定スタッフによって、森林所有者の要請に応じて計画を策定するが、その完了には約1 年を要する。個々の森林地は林班(又は林分)に分割されており、その林分は次のデータに関して査定される。
 −立地のデータ
  −林相
  −石の多少、湿地の程度、排水の状況
 −林分のデータ
  −平均高、平均胸高直径、断面積
  −林分を形成する林木の本数と年齢
  −それぞれ異なる樹種と木材区分との相対的本数
 −伐採及び保育の予定
  −伐採及び保育作業の時間表
  −勧告された材積
  −更新指示
  −木材区分当り伐採材積
 
                    ( 2 )
  −収穫量と推定立木収入
  −育林の必要性と基本的な森林改良作業とその実行方法、全費用、労働費及び労働力必要量
 −特異性
  −林班内に見られる特別なデータ
  −例えば、−希少な植物群落
       −風致的価値のある群落
       −オオライチョウ の生息地、ライチョウ 類の餌となる樹木
       −巣作り木
 −森林計画は、次のような問題に応える。
  −活気のある森林地及び森林の自然状態を保持する方法
  −木材として収穫できるところ、現在林木として更に成熟させるべきところ
  −伐出できる木材利用区分とその量
  −森林地の持続可能な伐出材積によって得られる収入
  −最大許容伐出材積
  −実行されるべき育林方法及びその費用
  −育林作業の実施に要する時間
  −森林改良資金供与に選定される林分(林班)
  −収穫及び保育に最も適当する時期
 完成した森林経営計画では、情報は次の4つに区分され、互いに密接に関係している。すなわち、(1) 森林地の現状と定められた目的、(2) 伐出作業と林業から得られる収入、(3) 育林並びに森林改良作業及び(4) 図面と林班のデータである。
 
4. 最も古い森林経営計画は18世紀にさかのぼるが、1970年代以来、近代的意味での経営計画が普通となった。その目標は、その地方の森林地を全て包含する地方森林経営計画を作成し、次いでこれらの森林地の所有者をして、適度な経費で自身の計画を購入する機会を設けることであった。持続可能なライフ計画(1919 年)(自然保全国際連合<IUCN>、国連環境計画<UNEP>及び世界野生鳥獣基金< WWF>によって勧告された)に従っての天然資源の持続的可能な利用は、これらの資源の現状並びに生産力に関する信頼できる研究調査、この前提となる森林資源調査及び森林の保育・利用計画の策定に基づいて行う必要がある。このことは、森林を所有する家族の生活にも必須なものであり、その森林経営計画は、このことについて有形の証拠である。森林経営計画は、問題の森林地における生産力と調和した持続可能な収穫方法について述べている。農林家(及びその他の私有林者)は既に第5 期森林経営計画(50年) に入っている。
 
 新 し い し 資 源 調 査 設 計 の 基 本(SOLMU)
  Tapio林業センタ−  1995年
 
−ファイルシステムに代わってデータベ−ス手法の適用の必要性
  −完全なデータが得られか?
−変化への弾力性
現在の資源調査システム(TASO)
  −林分変数が不正確に調査される。
   −場合によっては、欠けている数値を推測しなければならないことがある。
−生物多様性とその他特異性
  −新しい変数
  −落葉樹
  −山火事
  −枯死木と腐朽木
  −小生活圏
  −絶滅の危機にある動植物
  −森林被害
  −景観の審美的価値
  −伝統的な農業により影響を受けたところ
  −昔の遺物
  −土地の利用区分
 
−その他の組織によって収集されたデータの利用
 
−それぞれ異なる計画設定状況についてデータ収集ができる資源調査システム
−私有地の森林経営計画
  −特別な計画
    景観管理計画の設定
    レク地  〃
    私有保全地  〃
    狩猟鳥獣   〃
 
−木材市場の変化
  −特別な木材仕分け
  −材質
 
−新しい計算方法(MELAシステム)
  −成長量モデルを用いて資源調査データの更新
  −これから10-20 年間の蓄積の増加予想
  −伐採予算
 
林分の資源調査
林分は次の事項について同種であることを目指している。
  −土壌型
  −立地級
  −蓄積
  −伐採・育林活動の必要性
林分の平均規模は1-2ha である。
各林分から収集するものは:
  −管理情報
  −蓄積
  −伐採予定(10 年間)
  −育林予定(10 年間)
  −枯死木
  −多様性及びその他特異性
 
立地
  −地被級
  −林地級
  −立地級
  −土壌型
  −排水状況
  −進度級
  −林分の質的級
  −主たる樹種
  −伐採への開発度
 
蓄積
  −樹種
  −林冠層
  −年齢
  −断面積(m2 /ha)或いは樹幹本数
  −平均胸高直径
  −平均高
  −木材(全材積の%)
 
枯死木
  −枯死木の種類
  −樹種
  −材積
  −平均直径
 
伐採予定
  −伐採方法
  −伐採方向
  −伐採時期
  −全生産量
  −仕分け別推定生産量(m3 /ha)
 
育林予定
  −作業の種類
  −作業方向
  −作業時期
 
生物多様性その他特異性
  −コードに分けて取り扱われるが、その主たるコードは:
   A.土地利用指標
   B.歴史的自然地、昔の遺物
   C.小生活圏
   D.小さな小生活圏
   E.審美的重要性を示す変数
   F.その他特異性
   G.被害
   H.動物相
   I.植物相
 
 
  森 林 経 営 計 画 の 設 定
 
分離している私有地の計算とプリントアウト
 
・誘導した蓄積変数の計算
 ・材積
  ・木材のパ−センテ−ジ
・10-20 年間の林班単位のシミュレ−ション
  ・成長量と枯損量
  ・伐採
  ・育林
 
                    ( 6 )
・私有地レベルの最適化
  ・私有地レベルの目的と制約
  ・経営スケジュ−ルから私有地レベルでの解決方法の選択
・プリントアウト
  ・私有地の現状と目的
  ・伐採による所得推定
  ・育林及び森林改良作業
  ・図面
  ・林班データ
 
地方計画の設定とプリントアウト
・地方計画での計算
・10-20 年間の林班単位のシミュレ−ション
・成長量と枯損量
・伐採量
・育林作業
・地方レベルでの最適化
  ・目的と制約
  ・経営スケジュ−ルから私有地レベルの解決方法の選択
  →地方生産・経営計画
・地方計画のプリントアウト
  ・分離している私有地の経営計画の要約
  ・生産・経営計画
  ・地方計画の図面
  ・特別なプリントアウト
 


森林法  Forest Law