第1部 森林及び林業の動向 平成16年度
第2部 森林及び林業に関して講じた施策 平成16年度
| 平成16年度 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 1.山地災害等の多発と森林の整備 | 過去10年間で災害の被害2500億円が発生。 |
日本の森林面積2500万ha 国土の2/3をしめる 天然林5割、人工林4割、無立木地1割
面積比
日本の造林問題点(自然環境) 温暖で年間の降水量が多いため、ササ、蔓などの植物が繁茂しやすく、樹木の生長阻害や病害虫の発生につながっている。 植栽後20年は、下刈り、除伐、蔓切りの作業が必要 その後は間伐は必要。間伐を行わないと、地表面の土壌の露出、根の張りの弱体、下層植生の少なさから来る病虫害の発生。 =持続的な林業活動= 課題: (育林・素材生産コストの縮減と森林所有者の意欲喚起) 林業の採算性の低下。木材価格の下落、賃金の上昇による育林コストの上昇 素材生産コストは下降しているが木材価格も下降 ただし、先進林業国との素材生産費では開きが大きい
取組の方向: (施業の集約と情報整備) ・小規模森林所有者が多く、小面積で単独の作業を行うのには非効率であること ◎一作業箇所あたりの事業量の増加、機械化による効率的な作業を可能にさせること ◎効率的な作業道の設置 ◎機械の年間の運搬回数を減らすこと。運搬経費の削減と稼働率の向上につながる。 基礎データの整備が必要。間伐を団地化して進めるに当たっては、間伐に必要な林分の情報(森林所有者、林齢、蓄積、最近の施業状況など)が不可欠。宮崎県南那珂森林組合はGPSによる現地測量を用いてGISを構築 剳s在村所有者の増加による所有者との連絡が取れないという事態が問題化。 (提案型の施業実施) 間伐の進まない理由は、「資金がない」「採算が合わない」。 提案型として京都府日吉町森林林組合の施業の実施 (機械化の推進) 海外との生産性の大きな違いは、高性能林業機械の利用状況の違い。鹿児島県曽於地区森林組合の取組 1m3あたりの素材コストを5年間で8千円から6千円に。秀抜で6千円から4千円に縮減 (路網の整備) 集材距離の短縮、現場への移動時間の短縮、林業機械の現場への運搬、日常的な森林の見回り等の管理活動に必要。 高知県香美森林組合は民有林所有者と合意形成を行い、900haでモデル団地を作成。平成9年度まで27mだった林道密度を4平成14年までに46mに拡大。スイングヤーダといった高性能機械の導入で生産性を2倍へと向上させた。 (育林作業の省力化) 北海道では、地拵え時にブラッシュカッター(ブッシュカッター)を導入している程度。画一的な作業ではなく、柔軟に対応した筋刈(植栽木の植栽列に沿って一定の幅を刈払う方法)、つぼ刈(植栽木の周辺を方形、円形に刈払う方法) =地域材利用の推進= 課題: (住宅への地域材利用の推進) 昭和55年以降、国産材価格は下落を続け、スギ丸太価格は、平成4年以降。製材では平成9年以降、ベイツガの価格を下回っている。しかし、集成材に対する重要があるが、その規格に合わないモノも多くあるため、競争力が落ちている。 取組の方向: (ターゲットを明確にした供給体制整備) @グローバルな競争の下での市場の要求に応えられる製品の供給。統一された規格と数量。A「顔の見える木材での家造り」を通じて地域の住宅生産を対象に最終消費者の多様なニーズに対応した製品の供給 (大量消費市場に向けた取組) 丸太から木材製品までを一貫して供給するシステム作り。情報管理のためのソフト整備も必要 (関係者の連携を基礎とした取組) 地域材認証、トレーサビリティー(履歴管理)といった消費者との信頼関係の構築。川上産吉野材販売促進協同組合「川上さぷり」 =林業就業者の確保・育成= 課題: (林業就業者の定着促進と事業量の確保) 65才以上の林業従事者が25%に達している。 平成11年からの統計で、他産業からの新規就職者が2千人で移行。平成15年からは緑の雇用の事業実施で4千人を超えた。 しかし平成8年から11年までの3年間の定着率は55%。平成15年7月の時点で65歳以上が15%を占め、40%となっている。 取組の方向: (林業事業体の活性化と意欲のある就業者を支える取組) 新規就業者には、他産業からの転職者が多く、新規就職者の意欲を捉えつつ、林業以外の経験を経営に生かす取組も有益。山梨県の富沢森林組合では、現場作業に従事する就業者を経営の一部に参加させている。事務と現業の双方をこなし、組合経営にも携われるような人材の育成することを目標にしている。 (定住環境の支援) 新規就業者の3割が就業後に居住地を移しているUターン、Iターン。特に20〜40才未満が4割をしめる。 (林業事業体の安定的な経営) 多くの林業事業体は小規模で経営基盤の脆弱なモノが多く、森林施業地が小規模で分散的であり、林家の経営意欲の減衰とも相まって事業量の確保や事業の効率化が困難な状況である。 岐阜県の加子母森林組合では、施業の長期受託のほか、木工品の販売、キャンプ場の経営を組み合わせるなど、木材販売などの一部事業の業績のみに査収されない経営を進めている。 (緑の雇用による新規就業者の確保・育成) 「緑の雇用担い手育成対策事業」は、厚生労働省の緊急雇用対策で森林作業に従事したモノを対象として、高性能林業機械による作業、林業の専門的な知識・技能にかかる実地研修等を通じて、森林整備の新たな担い手として林業事業体への本格的な就業と地域への定着を促進する事業。 =山村の魅力を生かした活性化= 課題: (UIターン者の受け入れと魅力ある山村の構築) 平成12年度の調査では、65才以上の人口割合が山村では28%となっており、全国平均の17%を大きく上回っている。 UIターンでは就職先および所得機会の確保が大きな問題となっている 逆に、山村は高齢者の活躍できる場として、高齢者が元気に活躍できる場とすることも出来る。各年代が融和して住める環境作りが課題 取組の方向: (山村の資源の活用) 特用林産物の振興、異業種との連携と地域の創意工夫による山村資源を生かした新たな産業の創出。木質バイオマスエネルギーの利用による資源循環型社会モデルとしての山村の構築、都市住民との共生・対流の促進、森林環境教育や医療福祉産業との連携による森林空間の新たな利用などが考えられる。 (森業・山業の創出、特用林産の振興) 山村の家計は、林業や農業など様々な職種に就きながら生活を維持する多就業の形態によって維持されていることが多い。山村での生活を支えているのは一つの業種ではなく、いわば「山業」と表現できる。土木建設業に偏らない就業形態が必要。 徳島県上勝町の第3セクター「いろどり」、世田谷区と群馬県川場村の交流、山形県小国町の2600haの原野を改良した観光わさび園などがある。 (森林の「癒し効果」の解明と活用) 森林療法(森林セラピー)の立ち上げ、モデル基地の全国展開 (人材の育成) UIターン者がリーダーになった事例として熊本県水俣市の愛林館のような、地域で意識的にリーダーが育つ環境作りが必要。 ======================= 多面的機能の発揮に向けた森林の整備・保全 (1)森林の整備・保全の推進
林野公共事業の計画は「森林整備事業計画」「治山事業計画」ともに重点を事業量においてきた。しかし、公共事業関係の計画策定の重点を事業量から成果目標に変更するように方針が定められた。 造林や保育などによる「森林の整備」と荒廃地の復旧整備等による「森林の保全」とを効果的かつ効率的に実施することが重要であることから、平成16年6月に、両計画を統合した「森林整備保全事業計画」が策定された。 -森林整備保全事業計画の概要- 基本的な方針 ・森林は、国民生活や国民経済の安定に不可欠 ・森林の多面的機能を維持・増進することにより環境を創造する事業 ★安心・・・国民が安心して暮らせる社会の実現 +育成途中の水土保全林を整備し、機能が良好に保たれている森林の割合を整備しない場合の50%程度から整備保全を実施し、これにより66%程度まで向上させる。 +森林の再生やその予防などを通じて地域の安全性の向上を図ることとし、特に、周辺の森林の山地災害防止機能等が確保された集落の数を、現状の約4万8千集落から約5万2千集落に増加させる。 ★共生・・・森林と人とが共生する社会の実現 +針広混交林など多様な森林への誘導を目的とした森林造成の割合を31%から35% +海岸林や防風林などの延長約7000kmについて、海岸浸食や病虫害から森林を保全する。 +バリアフリーを考えた森林整備等を行い、約1100万人の都市住民に森林とふれあう機会を提供する。 ★環境・・・循環を貴重とする社会形成への寄与 +森林施業の集約化や機械化を通じた効率的な森林施業の実施により、木材として安定的かつ効率的な供給が可能となる育成林の資源量を現状から約1億2千万m3増加させる。 ★活力・・・活力ある地域社会への寄与 +全国で158ある流域のうち、資源を積極的に利用している流域の数を、現状の約10流域から約20流域に増加させる。 +5年間で約80万人の山村地域の住民を対象に生活環境の整備を行い、定住条件の向上を図る。 +間伐の推進+ 間伐を適切に実施することは、形質の優れた利用価値の高いの木材が生産されることばかりでなく、森林内に適度の光が入り低木や下草の発生が促され、表土の流出が防止されること、被圧された樹木が除かれ風雪害、病虫害の発生が抑えられること、多様な下層植生が育成し、生育する同植物の多様性の向上が図れることなど、森林の公益的機能を高める上でも大変重要な作業 平成17年度からは、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策の第2ステップの取組の一環として新たに、民有林において、年間概ね30万haの実施を目標に「間伐等推進3カ年対策」に取り組むこととしており、これは@新たな間伐団地の設定による集団的かつ効率的な間伐の推進、A公益的機能の低下が懸念される箇所における間伐遅れの解消、B間伐率の確保による、より効果的な間伐方法の定着、C林齢の高い森林の健全性を確保するための長伐期施業への誘導を推進、D間伐の効率的な実施に必要な作業路網や林業機械の整備の推進、E間伐材の用途開拓をはじめとする間伐材の利用促進などにより、間伐の実施と間伐材利用の推進に国と地方が一体になって総合的に展開していくこととしている。 +国土の3割を占める保安林+ 平成15年度末の指定実面積は1019万ha(延べ1089万ha)で、全国の森林面積の4割、国土面積の3割を占めている。 保安林の計画的な指定を推進するとともに、適切な森林施業の確保や衛星画像を活用した効率的な管理体制の整備等を通じて保安林の質的向上。 +治山事業の推進+ 近年における大規模な山地災害の発生などに対応し、山地災害による被害を最小限にとどめ地域の安全性の向上 +花粉症対策の推進+ スギやヒノキのほか植物の花粉によって引き起こされるアレルギー症状が花粉症で、近年、患者数が増加して社会問題となっている。その発症メカニズムについては、大気汚染や食生活など生活習慣の変化による影響も指摘されているが、完全には解明されていない。 林野庁は、平成13年に「スギ花粉発生抑制対策推進方針」を定め、@花粉の少ない品種の選定・供給体制の整備、A雄花着花量に着目yした抜き伐り、B花粉生産量予測手法の確立のための調査、C森林・林業面からの花粉症対策の取組を紹介するパンフレットの作成などの普及啓発活動などといった取組を推進してきた。 平成17年1月に、林木育種センターにて開発された無花粉スギの普及、都市周辺などにおける雄花着花量の多いスギ林分の重点的な間伐などの実施を追加して、花粉抑制対策のよりいっそうの対策を図っていく。 木材利用を推進し、現在利用期を迎えている森林の伐採を促すことで、花粉の少ないスギや無花粉スギなどへの転換も進めていく必要がある。 +松食い虫などの森林病害虫+ 松食い虫の被害は昭和54年をピークに被害在籍が減少傾向にはあるモノの、依然として国内における最大の森林被害となっている。特に東北地方の北部では、被害地域が北上するとともに、九州の一部、沖縄県などでは被害が再び激化する傾向にあり、未だ被害が収束する見通しが立たない状況にある。 森林病虫害の被害は、一端発生すると急速に蔓延する性格のモノが多く、被害先端地や未被害地においては監視体制の強化が重要である。被害先端地域の拡大防止や海岸松林の保全を図るためには、住民参加によるきめ細かい防除が有効であることから、地域住民が主体となったボランティア活動を推進しているほか、平成16年度から枯れ枝拾い等の軽作業だけではなく、薬剤散布や燻蒸といった一連の作業を自分たちの手で一体的に行う地域密着型の事業が展開されている。 日本海側を中心にミズナラやコナラなどのナラ類の樹木が集団的に枯れる被害ナラ枯れが発生し、急速に広まりつつある。これは、カシノナガキクイムシの媒介するナラ菌(ブナ科樹木萎凋病菌)が樹体内に入ることにより、樹木の通水組織に影響を及ぼし、根から吸い上げられた水分が樹木全体に供給できなくなることが原因と考えられている。 これらの被害の拡大を抑制するため、その拡大状況を的確に把握し、徹底した駆除を実施するとともに、新たな予防や駆除方法の早期開発が課題となっている。 +鳥獣被害+ 平成15年度のシカ、カモシカ、クマ等の野生動物による森林被害は、約7300haと、前年度から若干増加している、シカによる枝葉や樹皮の食害、剥皮等の被害は各地で発生しており、植栽木だけでなく下層植生などにも影響が大きく、鳥獣被害全体量の6割を超えている。 奥多摩地域や秩父地域、山梨県などでは植栽した苗木がシカに食べられたり、踏み荒らしによる土砂の流出により斜面崩壊が起こっており、被害が深刻化している。 平成16年は北陸地域など一部地域でツキノワグマが人里に出没し、約80件を超える人的な被害が発生した。平成16年10月に「ブナ等の結実状況に関する調査」を実施し、ブナやミズナラなどの木の実が不足していることとツキノワグマの出没数増加との間に強い相関関係があることが確認された。平成16年12月に公表された第6回自然環境保全基礎調査によると、20年前に比べてツキノワグマやシカなどの野生鳥獣の生息分布域に拡大傾向が示された。 鳥獣被害を減少させるためには、防護策の設置、森林被害モニタリング調査、被害監視活動、野生鳥獣の生息環境となる広葉樹林の造成を図るなど共存にも配慮した対策及び被害跡地の復旧を総合的に推進するとともに、関係省庁と連絡を図り客観的な生息動向に基づく被害防除戦略を策定する必要がある。 +森林火災と森林国営保険+ 平成15年度における林野火災の発生件数は1810件、焼損面積は700haで、発生原因の4割が、たき火、たばこなどの不用意な火の取り扱いとなっている。 森林国営保険への加入率が18%と低迷しており、平成17年度からは、木材価格の低迷などに対応した保険料の改正を行うとともに、効率的な加入促進が課題となっている。 (2)森林整備を支える仕組み ・森林組合の機能強化と森林組合改革の推進 +森林組合の機能強化+ 森林組合は、森林所有者である組合員の森林経営に必要な森林整備や、素材生産、木材の販売、森林施業計画の作成などを行っており、平成15年度末で165万人の組合員の出資により全国に970の組合が設立されている。 森林組合による事業の実施は、平成14年度において、新植面積の7割、下刈り面積の6割、除間伐面積の7割を行い、森林整備の中心的な担い手となっている。 従来のような小規模分散的な出材では、市場のニーズに応えることが難しいため、森林所有者へ収益を還元することが困難になりつつある。 伐採対象林分を団地化するなどにより出材ロットを取り纏め、生産コストの縮減を図ると同時に安定的な供給により、有利販売につながるシステムを構築するなど、森林施業から木材販売に至るまでその機能を強化していく必要がある。 +森林組合改革の推進+ 森林組合の組織基盤は、常勤役職員が3人以下が32%、払込済出資金が1千万に満たないモノが27%等小規模のモノが多い。 総事業取扱高が、10年前と比べ23%の減少となっており、新規事業の掘り起こしや不採算事業の統廃合などの事業の再編と強化が必要。 平成14年11月に決議した森林組合改革プランに基づいて、平成15年度から17年度の3年間を重点取組期間として合併などの経営基盤の強化と業務執行体制の強化、事業の再編・強化に取り組んでいる。 平成16年9月末までに、7県において13の合併構想(48組合が参加)、84組合が新たに常勤理事の設置、136組で新たに職員が技術資格の取得、122組合が加工・販売事業の再編整備に着手するなど各地で成果が上がり始めている。 ・林業普及指導事業の改革 林業普及指導事業では、調査研究を行う林業専門技術員(通称SP)と現場での普及指導を行う林業改良指導員(通称AG)の林業普及指導職員が、地域に密着して森林所有者などに対して技術や知識の普及などに取組、地域の林業経営の担い手となる指導的な林業者の育成及び確保に努めてきた。 しかし、森林の持つ多面的機能の発揮に対する意識の高まりなどから、林業普及指導職員に求められる資質も高度化かつ多様化している。 平成17年4月から林業専門技術員と林業改良指導員の資格を「林業普及指導員」に一元化するなどの制度改正が行われた。 普及指導活動の基本的な課題として@森林の有する多面的機能の発揮に資する高度な技術を採算性を確保しつつ定着させる、A効果的かつ安定的な林業経営を担う人材の育成・確保を図る、B地域全体で木材利用の推進を図り、林業生産活動を活性化させ、森林整備を促進させる。の3点を重点化し、森林所有者などに対する普及指導活動を行うこととしている。 研修の充実などを通じた林業普及指導員の資質向上、事業実施に対する評価システムの確立及び関係機関との連携強化などについて定めている。 ・公的な関与による森林の整備 林業公社は、森林俚諺の造成や山村の親交などを目的として、地方公共団体の出資により設立された公益法人であり、地力での林業経営が難しい森林所有者と分収林契約を結び、造林をはじめとする森林整備を行ってきた。林業公社による分収造林のほとんどが間伐などの必要な段階であり、森林の適切な管理を推進することが必要であるが、事業実施に必要な資金を借入金に大きく依存している。従って、まとまった伐採収入が見込めない中で債務残高が増加している状況にある。経営改善、各種施設の活用、都道府県の支援などによる経営の安定化に一層努めていく必要がある。 ・地方における森林整備のための財源確保の動き 森林の水源涵養機能をはじめとする公的機能に着目し、基金の造成や分収林契約の締結等、上流と下流の地方公共団体が協力した水源地域における森林の整備・保全が推進されている。 平成15年に高知県、平成16年に岡山県が導入。平成17年度から鳥取県、島根県、山口県、愛媛県、熊本県、鹿児島県。 ・森林の流域管理システムの推進 健全な森林の整備や木材の着実な利用などを図るため、森林の諸機能が発揮される場である「流域」を基本的な単位として、民有林、国有林を通じ川上から川下までの一体的な連携による「森林の流域管理システム」が推進されている。このシステムの中で、流域内の関係者の合意形成を図りながら、認証材表示制度の創設、地域の特性を生かした森林整備等の取組が進められている。 東三河流域では、流域森林・林業活性化センターが中心となり、NPOが森林施業計画などに基づき適切に管理された森林と認証した森林から生産された木材を「東三河環境認証材」として明示する制度の創設に向けた取組が進められた。 ・研究・技術開発などの推進
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| 2.京都議定書の発効と森林吸収源対策の推進 | 平成17年2月16日に140カ国と欧州共同体で締結したのが京都議定書 平成20年(2008年)から平成24年までの第1約束期間で、排出量を基準年である平成2年(1990年)の水準と比べて6%削減することが約束 6%のうち3.9%煮相当する1300万炭素トンを森林で吸収 平成13年(2001年)では、計画によれば達成可能と見ていたが、整備の遅れで、3.9%を大幅に遅れることになる |
(進む地球温暖化) 気象庁の発表では20世紀の100年間で、日本の平均気温は約1℃上昇。東京は、3℃上昇。ソメイヨシノの平均開花日(1989年から2000年)は、1971年から2000年の平均に比べ3.2日早くなっており、イロハカエデの紅葉は1953年から2000年の間に2週間遅くなっている。 二酸化炭素の濃度 1750年280ppm 2000年365ppm 産業革命のあった18世紀後半から30%上昇 21世紀末には現在の2倍の濃度になると推定
(地球温暖化防止に向けた国際的な動き) 平成9年(1997年)12月:京都議定書「気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)」では、平成20年(2008年)から平成24年(2012年)までの5年間(第1約束期間)の温室効果ガス平均排出量を、基準年である平成2年(1990年)の水準と比較して先進国全体で少なくとも5%削減することとし、日本は6%の削減を約束した。 平成13年(2001年)モロッコのマラケシュで開催された「第7回締約国会議(COP7)」において、京都議定書の運用ルールなどを定めたマラケシュ合意が採択された。 1300万炭素トン(1990年総排出量比3.9%)が算入の上限 平成15年(2003年)のCOP9 平成16年(2004年)のCOP10 京都メカニズムにおける新規植林及び再植林を対象としたクリーン開発メカニズム(CDM)の植林実施ルールが決定 京都議定書の発効には55ヶ国以上の国の締結、二酸化炭素排出量の55%以上を占める先進国が締結することが条件であったため、平成16年(2004年)11月にロシアが締結したため、平成17年(2005年)2月に京都議定書が発効した。 平成14年(2004年)3月に定めた「地球温暖化対策推進大綱」の中で、排出削減約束6%のうち3.9%に相当する1300万炭素トン程度を森林吸収量で確保することを目標 平成15年の時点で2003年度の温室効果ガスの総排出量は13億3600万トン(二酸化炭素換算)で、前年に比べ0.4%の増加。 (森林吸収源10カ年対策の推進) 平成14年12月に農林水産省は「地球温暖化対策推進大綱」で定められた森林吸収量の確保を目的とした「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」を策定した。 10年間を3回に分け、各段階ごとにその進捗状況の評価・見直しを行い、必要な取組を着実に実施していくステップ・バイ・ステップの方式としている。 平成16年(2004年)までの第一ステップは、各都道府県に於いて「森林吸収源対策プラン」を策定し、管理不十分な森林などを対象に対策が進めてきている。 間伐などの森林整備の実施、保安林の適切な管理、治山施設の整備の推進、住宅や公共部門への木材利用の推進、木質バイオマスエネルギー利用施設の整備の推進が積極的に行われている。
(森林吸収源対策の意義と重要性) 森林吸収源対策による削減目標を達成するには、森林の整備・保全が必要。平成16年11月の林政審議会に於いて議論され、資金の確保が出来れば短期間での確実な実行が可能であり、森林を整備・保全した分につき確実に吸収量にカウントされること、整備・保全した森林は経済変動の影響を受けることなく一定程度の吸収量を確保し続けること、また、林業・木材産業及び広範な関連産業の振興による地域経済の活性化、森林資源の活用を通じた循環型社会の構築に寄与するなどの多様な効果が期待されることから、安定的な財源を確保して緊急に取り組むことが必要であることについて適当である旨答申されている。 (生物多様性の保全) 国土の7割が森林に覆われている日本では、生息するほとんどのほ乳類が森林を生息場所としているほか、多くの鳥類や植物、菌糸類、微生物が何らかの形で森林に依存している。 世界では森林の減少・劣化などにより種の絶滅や生物多様性の減少が進行しており、国際的な連携のもとで包括的に保全していく必要から、平成5年(1993年)に「生物多様性条約」が発行され、187ヶ国と欧州共同体が平成16年までに締結している。 平成14年3月に「新・生物多様性国家戦略」を策定し、身近な自然の保全、針葉樹と広葉樹の混交林化、間伐等の適切な森林の整備・保全の推進が、森林の生物多様性の保全を進める上で重要であることを明らかにしている。 ※第三次生物多様性国家戦略(平成19年11月27日決定) -------------------- 平成15年度では6万3千haの間伐を実施するなどの森林整備を積極的に進めた。 木製谷止め工や間伐材を活用した法面保護工の導入による木材の利用を拡大しており、平成15年度では6万2千m3の木材を利用。 松枯れ被害木を地元のバイオマス発電施設に供給する取組も行われている。 |
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| 3.「緑の募金」をはじめとした国民参加の森林作りの推進 | 緑の募金で、森林ボランティアなどによる森林整備活動、住民参加による緑化活動、NGO等による海外での緑化活動 緑の募金の拡充のために、平成17年度から募金実施期間の拡大、売り上げの一部を募金に寄付する協賛商品の拡充を行っている |
(1)多様な主体による森林整備 +ボランティアによる森林作り活動+ ボランティア活動への理解と環境問題への関心の高まりとともに、ボランティアの活動数が増加し、活動内容も多様化している。森林ボランティア活動も活性化するとともに活動が定着し広がりを見せている。「山の日」や「森の日」等を独自に設ける自治体が増えており、森林ボランティア活動に国民が参加するきっかけとなっている。 +ボランティアによる森林作り活動の課題+ 運営上の問題として資金確保が課題 参加者の確保、安全の確保も課題 けが人のうち、1割が3日以上休養が必要な事例があり 鎌やナタ、チェンソーなどの機械類を扱う回数が増えていることから、技術指導者の養成や安全管理体制の整備が重要 森林ボランティアの活動は、森林整備や農山村の人々とのふれあいを通して、参加する者が森林や林業、山村に関する問題を認識する機会となっている。 +企業などによる森林整備+ 企業による社会貢献活動の一環として、森作り活動が展開されている。企業による森林作り活動の目的は、企業の社会貢献活動、社員の森林環境教育、二酸化炭素の削減手段等様々である。 平成15年度には25億円も緑の募金が集められた。 (2)森林環境教育の推進 循環型社会の構築を進めるためには、国民が森林の様々な機能や資源として循環的に利用することの意義を理解することが重要である。また、子供たちの「生きる力」をはぐくむ体験学習の場として、森林を広く活用していくことも期待されている。 平成16年9月に「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的な方針」に基づく「環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的な方針」が閣議決定されており、環境教育の最大のフィールドである森林を積極的に活用していく必要がある。 学校林などを利用した森林環境教育を今後も推進していくとともに、指導者の養成。森林所有者や市町村の受け入れた移籍の整備、関連情報の提供、総合的な学習プログラムの開発等を推進していく必要がある。 森林環境教育関係者の情報交換や相互交流、地域における連携・協力を進めるため、行政、森林組合などの林業・木材産業関係者をはじめ、市民団体、教育関係者、企業の賛同も得たネットワーク作りを推進する必要がある。 (3)里山林の保全・活用 +里山林の状況+ 人々と里山林との関わりが薄れ、農山村の過疎化などの影響もあり、放置された里山林が多く見られるようになっている。また、手入れ不足から広く竹藪となっている里山が見られるとともに、目的とする林木や作物の生長が阻害されるなど、タケの侵入による被害も問題になっている。 +里山林の保全・利用+ 環境保全機能、生物多様性の保全などの観点から里山林の価値が再認識されるようになってきた。これに加えて、人と森林との豊かな関係を回復・創出する場としての里山林に対する期待から、身近な森林作り活動や森林環境教育、健康作りの場として見直され、地方自治体、都市住民、森林所有者、NPO、企業、地域住民などの連携による保全や利用のための新たな活性化してきている。 竹については、竹の繊維やフローリングなど、新たな用途への利用も含め必要な加工施設の整備を推進し、利用拡大を図っていくことが重要である。 ------------------------- 国有林野の管理経営の基本方針を明確にするため、農林水産大臣は5年ごとに定める10年間の「国有林野の管理経営に関する基本計画」(管理経営基本計画)を広く国民の意見を聞いた上で定めている。 平成15年12月には、名実ともに開かれた「国民の森林」を実現するために@国土の保全や水源の涵養などの公益的機能の維持増進を旨とする管理経営の一層の推進、A地球温暖化防止、生物多様性の保全、自然再生などの新たな政策課題への率先した取組、B森林環境教育への貢献、森林とのふれあいや国民参加の森林作りの推進などの取組を本格的に進めるとともに、C国民との双方向の情報受発信を基本とした対話型の取組の推進を骨子とした新しい「管理経営基本計画」を策定した。
公益的機能の維持増進を旨とする管理経営 +森林の機能に応じた管理経営+ 重点的に発揮すべき機能に応じて国有林野を、「水土保全林」「森林と人との共生林」「資源の循環利用林」の3つに区分した上で、国有林野の61%を占める「水土保全林」について、公益的機能の維持増進を図るため、伐採林齢の長期化、複層林への誘導、針広混交林化などの森林施業を進めている。 国有林野の27%を占める「森林と人との共生林」は、貴重な自然環境の保全を第一とする「自然維持タイプ」と、自然とのふれあいの場としての利用を第一とする「森林空間利用タイプ」に細分している。 「自然維持タイプ」では、原則として伐採は行わず、自然の推移に委ねる森林作り 「森林空間利用タイプ」は、優れた景観の保全に配慮した森林作りを行ってるほか、森林を憩いや学びの場として活用したいという国民の要請に応えるため、保健・文化・教育的な活動の場に適した国有林野を「レクリエーションの森」に選定して、広く国民に提供する。 国有林野の12%を占める「資源の循環利用林」は、木材の効率的な生産を重視する森林。 +保護林及び緑の回廊+ 貴重な森林の保全・管理を進めるため、大正4年に制度を設けて以来、保護林の指定を推進しており、平成16年度期首では、839カ所、65万6千ha ------------------------ +森林環境保全ふれあいセンター+ 平成16年4月に「森林環境保全ふれあいセンター」を全国10カ所に新設 自然再生や生物多様性の保全等を進める活動では、里山の植生調査、渓流魚のモニタリング調査、減少傾向にある地元特有の植生の再生などに対する支援を行っている。森林環境教育を進める活動では、地元中学生を対象にした間伐などの林業体験、安全作業などの実習を行う森林ボランティアリーダー養成講座の開催、樹木の種類について学習するコースの設定などを行っている。 +森林環境教育の推進+ +ふれあいの森+ NPOなどが行う自主的な森林作り活動を支援するため、森林ボランティア団体などと協定を締結し、国有林野を活動の場として提供する「ふれあいの森」の設定を平成11年後から進めている。ふれあいの森では、植樹や下刈り、森林浴、自然観察会、森林教室などの活動を行うことが出来、平成15年度末の現在で、全国に137カ所、延べ1万5千人が森林作り活動に参加。 森林管理署なでは、こうした森林ボランティア団体などに対する技術的な助言や講師の派遣といった支援を行っている。 |
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| 4.愛知万博、パビリオンでの木材利用 | グローバルループと呼ばれる空中回廊に木材を利用 間伐材を束ねて接着した「編成材」や間伐材を丸太のまま束ねた「束ね柱」を利用 |
1:我が国の林産物需要と価格の動き (1)木材需給の動向 +我が国の木材需給+ 平成15年の用材需要量は、丸太にして8718万m3 平成元年以降1億1千万m3で推移 平成10年以降は9千万から1億まで低下 平成14年度は9千万まで割り込んだ。 国産材用材は、平成15年度では15年ぶりに前年より7万3千m3増加し、、用材自給率を0.3ポイント上昇して18.5% 用材自給率の上昇は、シックハウス対策のための建築基準表の改正により、ホルムアルデヒド放射量の表示が平成15年7月から義務化され、新たな表示制度(F☆☆☆☆等)への対応が求められる中、合板の主な輸出国であるインドネシアが対応に遅れたことで、輸入量が減ったことと、合板の材料としてスギ等の国産針葉樹材の利用が増えたことがあげられている。 外材は米材が25%をしめるが、米国内での住宅着工が好調であるため、米国内での需要に振り向けられたこと、欧州材等の産地間競争が激化していることから、製材、丸太ともに減少。 欧州からは集成材原料のラミナなどに主に用いられる製材品が増加。 南洋材は、資源的な制約や丸太輸出規制などから年々減少。 +針葉樹合板の増加+ 合板用材の1281万m3の97%が海外からの輸入となっている。 国内生産される合板の原料491万m3も93%が外材で占められているが、針葉樹丸太が増加している。平成15年には合板用丸太輸入量455万m3のうち、52%が北洋材。国内生産量に占める針葉樹合板の割合は、平成11年は32%、平成15年は302万m3のうち62%となっている。南洋材の入手困難より 国産材の合板用丸太の入荷量は平成13年度以降増加しており、平成15年には、北洋カラマツ等との異樹種合板での利用を含め36万m3の国産材が利用されている。 国産材についても、スギやカラマツなどの針葉樹が増加傾向にあり、平成15年には全体の85%を占めている。 合板材料として小径木丸太も利用可能となるなど合板加工技術の向上や、厚物合板が普及する中で、外国産針葉樹に比べて軽量であるスギの特性が生かされ、間伐材などの国産丸太の利用拡大につながっている。 +集成材需要の増加+ 集成材は、住宅建築において寸法安定性に優れ、強度性能が明確な木材製品として需要が年々増加しており、平成15年の輸入量は前年比112%、国内生産量は120%となっている。 平成15年の集成材輸入量72万m3うち、欧州材が全体の57%を占める。中国からの輸入量は、構造用集成材が前年比271%、造作用集成材は144%と大幅な伸びを見せ、集成材輸入量全体の20%まで急増した。 国内で生産する集成材141万m3の原材料となる丸太や板材(ラミナ)は、欧州材60%、北米材22%、国産材12%である。 国産材の集成材への利用に向けては、原木及びラミナの安定的な供給体制と、低コストの乾燥技術の確立が課題となっている。 +貿易交渉を巡る動向+ +住宅着工の動向 国内で製材される製材品の8割が建築用に向けられている。住宅着工の動向は、木材需給に大きな影響を与えている。 平成16年の新設住宅着工数は住宅ローン減税制度が平成16年末までであったため、駆け込み需要で昨年度個数を上回る1189千戸であった。 住宅着工戸数全体に占める木造住宅は、昭和63年に41%まで低下したが、45%前後で推移している。 (2)木材価格の動向 スギの価格は、昭和55年をピークに下落傾向となっている。 外材の製材用材として代表的であったベイツガの価格の影響を受けて下落し、柱材として急速に需要を伸ばしつつある構造用集成材(主にヨーロッパからのホワイトウッド集成材)との競争において厳しい立場に立たされたためである 市場に応える乾燥材であれば需要も堅調であり、価格的にもホワイトウッド集成材と同程度を維持している。かつての競合相手であったベイツガは、住宅土台部分に特化しており、スギとは直接競合していない。 (3)国産材輸出の動き スギ、ヒノキを中国、韓国に輸出する動きが活性。 宮崎県森林組合連合会では、中国江蘇省に宮崎県産スギを使った戸建住宅を完成させるとともに、上海市内の企業15社と今後の輸出促進のための協力組織「宮木パートナーグループ」を結成。鹿児島県は、JETROと連携して韓国での販売を検討 (4)特用林産物の動き +キノコ類の動向+ 特用林産物の生産額はここ数年横ばいで推移。平成15年の特用林産物の生産額は2988億円で、前年比0.2%減少 このうちキノコ類は2288億円8割を占める。 生産額の多いのは、生シイタケ、ブナシメジ、エノキダケ、マイタケ。これらが特用林産物生産額全体の6割。しかし、生産額は減少。 作業の省略化、品質管理の徹底をはじめ生産履歴情報公表など消費者ニーズや販売戦略に臨機に対応可能な生産体制を確立することが重要。 エリンギは生産量が2年前に比べ3倍、生産額は2倍となっている。 食の安心、安全、流通の適正化が重要 +中国産木炭の輸出禁止+ 中国産の木炭が輸入量の1/3。白炭(備長炭)は消費量が8割を占めていた。平成16年10月から木炭の輸出を禁止。 2:我が国の木材産業を巡る現状と課題 (1)国内資源の充実と国産材需要の低迷 人工林を中心に国内資源は充実しつつあるものの、国産材の供給量(用材)は減少傾向。 昭和48年に過去最高の1億2千万m3を記録。 昭和35年の輸入自由化以降、昭和35年800万m3が、昭和44年には6倍の4900万m3、平成11年以降は国産材供給量は供給量全体の2割を下回るまでとなった。 (2)市場が求める製品への対応 +プレカット加工の進展+ 住宅建設の施工期間の短縮や施工コストの縮減、大工技能者の減少に対応して、プレカットされた資材の理由が年々増加しており、その割合は現在6割を超えている。 長い間、大工の知識と経験で、木材の加工、組み立てを住宅建築の現場で行ってきたが、プレカット材による住宅建築では自動化されたプレカット加工システムに適した寸法制度・安定性に優れた材料が求められており、乾燥材や集成材への需要が高まっている。 +品質・性能の明確な製品+ 乾燥材の需要は伸びているが、14%である。平成9年度から6ポイント増えているが、従来から乾燥材の普及への取組が遅れたスギなどの国産材製材品は、木材市場における地位を低下させている。 一方、風土に適した建築材料を使いたいという消費者の意識に対して、住宅メーカーの中に取組ところもある。 さらなる国産材の乾燥技術の開発・改良・普及を進めるとともに、乾燥コストの縮減や人工乾燥施設の整備を進め、早急に乾燥材の供給体制を整えていく必要がある。 (3)加工、流通体制の整備 +安定的な供給の確保+ 首都圏などの大消費地への木材供給には、品質・性能の明確な製品を安定的にまとまった量で確保出来ることが求められる。原木確保の段階では、伐採箇所が小規模・分散しているのに加え、加工段階でも国産材製材工場には小規模なものが多く、需要者のニーズに十分応えられるような安定的な供給を確保しにくい状況にある。また、木材価格の低迷が森林所有者などの伐採意欲を減衰させている。 森林所有者の健全な経営を確保する観点から、流通加工段階でのコストの削減を図るとともに、安定的な供給の確保に努め、地域材の価格競争力や供給の安定性を高めることによって国産材の需要を喚起していく必要がある。 +小径材等の利用拡大+ ほとんどの山地で柱材に偏重した生産が指向されており、小径材、曲げ材、短尺材等の柱適材でない材の利用が十分図られておらず、このことが伐採木の利用率の低下を招き、木材価格の低迷の一因ともなっている。 加工技術の向上により集成材や針葉樹合板などへの曲材等の利用も増加してきており、今後もさらなる技術開発などにより利用拡大を進めていく必要がある。 +丸太の選別と流通の合理化+ 製材加工のコスト削減には、求めに応じた形質がそろった丸太を安定して製材工場などに供給できる体制が必要である。このためには、丸太の性質により事前に選別を行い、空にそれぞれの性質の丸太を一定量確保した上で、流通させるシステムが必要。 曲材等については、山元で原木を生産する段階で、柱材などの適材と選別可能であることから、このストックヤードを整備し、一定量を確保できた段階でラミナ工場などへ直送するようなシステムを構築することが重要 国産材製材用材の6割を占めるスギは、含水率や強度にバラツキが多いため、曲材等でなくても柱材等に向かない丸太もある。このため、原木市場などにおいて一旦集積した後、丸太の自動選別機などにより、含水率や強度に応じて効率的に選別して供給することで、製材工場での歩留まりを向上させることが重要である。 +製材工場の整備+ 製材工場では、規模が大きいほど従業員ひとりあたりの生産性は高くなっていることから、規模の拡大による生産性の向上を図っていく必要がある。 集成材需要の増加をふまえ、地域材の利用を進めるために、製材工場のラミナ工場への転換も必要となっている。 品質・性能の明確な製品へのニーズに対応するため、製材工場において発生する端材などの燃料としての活用により乾燥コストの低減を図りつつ、人工乾燥設備の整備を推進していく必要があるほか、JAS認定製造事業者の認定の取得を積極的に推進していく必要がある。 +木材情報の提供とネットワーク化+ 消費者や工務店、製材業者に対する品質、供給可能量、価格などの情報提供をさらに推進していく必要がある。流通コスト削減としてIT化を進める中で物流と商流の分離を図ることが重要。 木材流通業者と住宅建築業者の連携に見られるネットワークシステムやインターネットを活用した木製品の取引などの取組も見られる。需要者ニーズに適切に対応していくためには、ITを活用した効率的な木材の生産・流通・加工体制を確立していくことが不可欠であり、他産業におけるITソリューション(情報技術を活用した業務運営の改良・改革)も参考にしつつ、川上から川下を通じた情報化を展開していく必要がある。 3.木材の利用拡大 (1)環境に優しい木材の利用 +地球温暖化防止や循環型社会の形成における木材利用の役割+ 京都議定書で森林吸収源として算定されるのは森林経営などがなされた森林であることから、林業生産活動が停滞することにより森林経営の範囲が狭まることは、森林吸収の算定対象面積の減少につながる。 木材は、製造時・加工時の消費エネルギーがアルミニウムや鉄に比べて格段に小さいことに加え、炭素を貯蔵する機能を持つことから、年には木造住宅を中心とする第二の森林があるともいわれている。 加えて、燃やした時に発生する二酸化炭素は元々空気中にあったモノを樹木が生長する過程で吸収・固定したモノであり、いわゆるカーボンニュートラルな特性を持つ。 平成14年12月に農林水産省が策定した「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」においても木材及び木質バイオマスの利用は重要な施策として位置づけられている。国民全体で木材利用を推進することにより、地球温暖化防止や循環型社会の形成を図っていくことが重要である。 ヒノキは一般的な鉄などの人工材料と異なり、伐られてからも200〜300年は強さなどが向上する。 16年4月には木材利用の意義をふまえ、日本木材学会が発起人となり、「日本の森を育てる木づかい円卓会議」が設立。 11月には、「国産材の循環的な利用を通じて日本の森林を再生する」事を目的とした提言がなされており、行政でもこれを尊重した取組が進められている。
+公共事業における木材利用の拡大+ 平成15年8月に「農林水産省木材利用拡大行動計画」を策定した。平成15年度の実施状況では、公共土木工事における安全策や手すりなどの木製割合88% (2)木材・木質バイオマスの利用促進 +木材利用の推進+ 住宅とはいかなくても、名詞や封筒、ファイル、カートカンなど目にするモノに間伐材を原料とした木材使用量は少なくても、購入機会を多くすること +ラベリング+ 一定の基準・規格などを満たす木材や木製品にラベルを貼ることにより、消費者が選択的に購入できるような仕組みであるラベリングが各地で取り組まれている。これは、認証マークの普及や認証制度の意義、製品を広め、消費者がその製品の持つ意義などを理解し、選択してその製品を買うようにするための取組である。 日本では、特定の地域から算出される木材を認証し、木材の地産地消や木材の使用を通じた地域森林の整備を訴えるための地域材認証が活性化してきている。さらに、地域材認証にさらに付加価値をつけるため、乾燥性能などの品質・性能の認証も合わせて行う動きもあられる。 乾燥秋田スギ認証制度 木材の輸送距離からエネルギー消費を見る「ウッドマイレージ」が試算されており、それによると我が国はアメリカの4倍、ドイツの20倍のウッドマイレージがかかっているとされる。この考え方に基づき、木材の輸送距離を基に算出した二酸化炭素排出量を地域材に表示する動きも見られる。 +木材にかかる普及啓発の必要性+ +木の文化の伝承+ 伝統的な木造建築技術の評価や技術者の育成が重要。 +健康住宅としての木造住宅+ 平成16年度に新築された住宅は119万戸、うち45%が木造建築。平成15年7月より施行された建築基準法の改正により、居室内においてホルムアルデヒドを発散させる建築材料が規制されるようになった。これによるホルムアルデヒドなどの有害物質の放出の少ない接着剤を使った木材製品の生産が推進され、無垢材の積極的利用の動きも見られる。 +木質バイオマスエネルギー利用の推進+ 化石資源への依存によって顕在化している温暖化などの地球環境問題を解決するためには、こうしたエネルギーシステムから極力脱却し、環境への負荷の小さいエネルギーを増やしていくことが重要であり、そのエネルギーとしてのバイオマスなどのいわゆる「新エネルギー」の利用が注目されている。 平成14年には、閣議決定されたバイオマス・ニッポン総合戦略において、バイオマスの利用は、@地球温暖化の防止、A循環型社会の形成、B競争力のある新たな戦略的産業の育成、C農林業、農産漁村の活性化にとって意義があると位置づけられている。ただし、バイオマスの利用促進という意義は一般には定着していない。 大鋸屑などを15mmほどの円筒状に成形したペレットという固形燃料を小学校や公共施設でストーブやボイラーの燃料として使用する動きや、地域で家庭用ペレットストーブを開発する動き、竹炭や木炭の粉を燃料とするストーブの開発も見られるが、一般的認知度は低い。 木質バイオマスを直接燃焼するよりエネルギー変換効率が良く、使いやすいガス化や液化の技術開発も進められている。ガス化については、国内メーカーが独自技術により、木質バイオマスガス化発電設備を整備し、実証試験を行うなど実用化に向けた取組が進んでいるほか、海外で開発された木質バイオガス化発電の商用プラントを我が国で販売しようという動きも見られる。 火力発電においても、木材チップを石炭と混焼し石炭の使用を減らすことによって二酸化炭素排出量を削減する取組も行われている。 木質バイオマス利用を推進していくためには、このようにいろいろな形での利用を普及させるとともに、林地残材などの未利用資源を効率的に収集・運搬する方法など採算性を確保していく手法も検討していく必要がある。 +林産物の新たな利用技術、木質素材の開発、実用化+ 木材の新たな利用を広げるため、木材を加工し、新素材を作る研究や木材を萌えにくくする、強度を増やすなどの性能を向上させる研究も進んでおり、リグニンと木繊維を結合した木質プラスチックや木材を化学処理して難燃性をこうじょうさせた不燃材などの開発が進められている。 木材を科学的に分解して石油代替物質としてプラスチック原料や燃焼への添加剤などに使う研究も進められている。 鉄製の支柱に木材を組み合わせた木製ガードレールの開発や、異樹種を組み合わせ強度を増した集成材、木質系廃材を粉砕してから再構成する再生木質ボードや木材−プラスチック複合素材など、木材と既存の資源を組み合わせるなどの研究・開発を進め、新たな用途に木材の利用を推進しようとする取組も行われている。 |
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| 5.日本の森を育てる木づかい円卓会議の提言 | 1)国産材製品を使うと、日本の森林は元気になる。もっと使おう カートカン、プランターカバーから 2)国や地方自治体はもっと本気になって国産材利用を実践しよう まずは徹底的な国産材利用と積極的な情報発信から 3)企業は国産材を使おうともっと真剣に考えよう まずは紙製品の見直しとオフィスへの木製品の導入から 4)国産材を積極的に使うことについて、NGOや消費者団体はお互いにもっと協力し合おう 環境に配慮した買い物と学校での木材教育 5)家庭で一緒にもっと国産材にふれよう 日曜大工や子供の木工作から |
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| 6.国有林野を活用した民間活動への新たな支援 | 国有林野を活用し、自然再生や生物多様性の保全などに取り組むNPO、森林環境教育に携わる教育関係者などへの支援活動を強化することを目的とし、平成16年4月に「森林環境保全ふれあいセンター」を10箇所に創設 北海道 ・常呂川 ・釧路湿原 ・石狩地域 ・駒ヶ岳・大沼 東北 ・朝日庄内 関東 ・赤谷 中部 ・木曽 関西 ・箕面 四国 ・四万十 九州 ・西表 |
+分収林制度による森林作り+ 国有林野における分収林制度には、契約者が国有林野に造林を行う「分収造林」と、育成途中の森林について費用の一部を契約者が負担し、国が育てる「分収育林」の2つの制度がある。 分収林制度を利用して、企業が社会貢献活動の一環として森林作りを行う「法人の森」や漁業関係者による「漁民の森」の設定が行われている。 法人の森では、企業が一般市民を募って体験学習を実施したり、新規採用職員が間伐作業を行う等、各企業によって多様な活動が取り組まれている。 法人の森は平成15年で381カ所、約2千ha +広く国民の意見を取り入れる為の取組+ ホームページを開設し、随時電子メールで意見や要望を取り入れている。 国有林モニターを全国から募集しており、364名いる。 =国有林や事業の抜本的改革= 現在の国有林や事業は昭和22年の林政統一により発足し、特別会計制度の下で独立採算性を前提とした企業的経営を行い、国内の増大する木材需要に応えるとともに、事業の収入の一部を一般会計に繰り入れるなど国の財政にも貢献した。 しかし、昭和40年代後半以降、木材輸入の増加、自然保護への配慮による伐採量の減少などから財政状況が急速に悪化し、昭和53年度以降、4次にわたる経営改善計画を策定し、経営改善に努めたが、長引く木材価格の低迷や土地価格の低落などにより責務が累増した。一方、国有林野に対する国民の要請は公益的機能の発揮を中心に多様化してきた。 このため、林政審議会をはじめとした幅広い論議・検討をふまえ、平成10年に成立した「国有林や事業の改革のための特別処置法」、「国有林や事業の改革のための関係法律の整備に関する法律」荷物付き、同年10月に抜本的改革に着手した。 +抜本的改革の考え方+ 国有林野を国民共通の財産として、国民の参加により、国民のために管理経営し、名実ともに「国民の森林」として、期待される役割を果たすことが出来るよう、簡素で効率的な管理経営体制を確立するとともに財政を健全化することである このため、@公益的機能の維持増進を旨とする管理経営への転換、A組織・要因の徹底した合理化・縮減、B一般会計繰り入れを前提とした特別会計制度への移行、C累積債務の本格的処理(約3兆8千億円のうち、約2兆8千億円を一般会計に承継し、残る約1兆円を一般会計からの利子補給を受けつつ国有林野事業特別会計で50年かけて返済)を柱とする改革を平成15年度末までの期間を集中改革期間として推進した。 +集中改革期間における取組の成果+ 水源の涵養、自然環境の保全などの公益的機能の発揮を重視する「水土保全林」と「森林と人との共生林」の公益林の拡大を進め、その割合を改革前(平成10年度期首)の5割から平成16年度期首には9割に増加させた。 伐採、造林などの実施行為については、民間委託を進め、平成15年度では伐採(素材生産)、人工造林、保育(下刈り)の委託割合が9割を超える状況となった。また、組織・機構の徹底した簡素・合理化を進め、14営林(支)局、229営林署を7森林管理局、98森林管理所などに再編した。 職員数の適正化を図るため、雇用問題にも十分配慮しつつ、他省庁への配置転換や特別交付金の支給による定年前退職を進め、職員数は平成10年度期首の約1万4千人から平成16年度期首には7千6百人に減少した。 木材価格の一層の下落、土地需要の減退などによる事業収入の減少はあったモノの、木材の販路拡大、資産の徹底した見直しによる土地の売り払いなどによる収益確保や効率的な事業執行に努めた結果、新規借入金については平成11年度には650億円であったが、その後確実に減少させ、平成16年度予算では新規借入金が計上されなくなるにいたった。 |
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