地中海周辺の場合
地中海周辺では
地中海では、もっと早く森林が無くなりました。エジプト、エーゲ海、ギリシャといった古代文明。そしてその後のローマ帝国。いろいろな理由で国が興きては滅んでいきました。経済的な理由で、政治的な理由で、そして今破綻を迎えつつある一神教(キリスト教とイスラム教対ギリシャ・ローマの神々)のぶつかり合いで。

その背景は、農業の衰退があるのではと思います。農業の衰退というよりは地力の低下。地力の低下は、農作物の収量の低下。そして収入の低下につながります。地力の低下を補うために、農耕地を拡大するしか方法はなかったんです。まぁ、他に攻め込むというのもありますが。

何故、衰退したかは、地理的な要因も考えられます。オリエントは、ステップやサバンナ、そして砂漠地帯。地中海沿岸も、常緑の硬葉樹(オリーブが代表樹種)という植生。悲しいかな、植生の連続性がないので、疎林なんです。スカスカな森なんです。

そして追い打ちをかけるように年間降雨量が500ミリ以下というところが結構あります。そして、農業の基本が小麦。大規模な森林管理が必要な水に頼らない農法、天水農法だったんです。もし稲作だったらどうなったんでしょうかね。



天水農法なので、背後に森のある必要はないのです。上記の写真はイランの写真ですが、イメージをつかんでもらえれば幸いです。

二圃式農法の失敗
二圃式農法と呼ばれる農業が地中海周辺を席巻していたんです。冬の雨のおかげで麦が生育。その年の秋に収穫。地力を休めること一年。その間に家畜を入れて、落とした分を肥料にして地力回復。また、冬の雨を利用して麦の栽培。休ませるというサイクルのシステム。非常に理にかなった農法だったんです。

でも、落とし穴があったんです。それは地力を高めてくれた家畜の存在。牛とヤギ、羊、そして豚がいたんですが、牛は、農作業用として重宝。一家族に一頭かどうかは分かりませんが、それほど森林破壊には影響を与えなかったそうです。豚も森林破壊の原因にはなり得ない。理由は木を食べることが苦手。木を分解して糖分を取り出す能力がないからなんです。

でも、山羊や羊は違いました。木を食べることが出来るんです。羊は、草を主に食べるのですが、根まで食べちゃいます。土壌がちょっとした雨でも流れ出すというエロージョンを引き起こしたんです。
山羊は、ジャンプ力のある生き物。ちょいっと木に登って新芽を食べるんです。そして樹皮も食べちゃうんです。

木は枯れてしまいます。疎林という森の中の木が一つ消え、また一つ消えていったのです。

山羊や羊が増えたのは、お金代わりの生き物だからなんです。生きた貨幣だったので、多い方が何かと便利だったんです。


地域の細分 陸地面積 2000年の森林面積 1990-2000年間の
森林面積の変化
森林蓄積と地上の
バイオマスの量
天然林 植林地 森林計
千ha 千ha 千ha 千ha % ha/人口 千ha/年 m3/ha トン/ha
北欧 129,019 63,332 1,613 64,945 50.34 2.5 70 0.1 105 60
中欧 196,358 47,766 4,114 51,880 26.42 0.2 152 0.3 222 117
南欧 163,750 47,397 4,327 51,724 31.59 0.3 233 0.5 112 60
ベラルーシ・ロシア
モルドバ・ウクライナ
1,770,830 848,742 21,961 870,703 49.17 4.1 423 0.0 106 56
欧州計 2,259,957 1,007,237 32,015 1,039,252 45.99 1.4 881 0.1 112 59
世界計 13,063,900 3,682,722 186,733 3,869,455 29.62 0.6 -9,391 -0.2 100 109
地中海周辺の場合
きこりのホームページ http://www.kikori.org